「AIに関わる人」視点でのレイヤー構成
「AI」を分解してみましょう。
AI(エーアイ)とは Artificial Intelligence(人工知能) の略で、コンピューターが人間のように学習したり、考えたり、判断したり、認識したりする技術の総称です。
ここで大事なのは、「AI」という言葉がひとつの技術を指しているわけではない、という点です。実際には、関わる役割によって、その実態は大きく異なります。
この技術を理解するために、「AIとどのように関わる人がいるのか」という視点から、6つのレイヤー構造で整理していきます。
レイヤー0:基盤研究・理論構築
(概念・理論フェーズ)
AIが「そもそも何ができるのか」を、数学や理論のレベルで明らかにします。土台になる考え方を作る役割です。
- 主な職種: AI研究者、機械学習研究者、数理研究者、AI倫理研究者
- やっていること: * どんな学習の仕組みが考えられるか
- 成果の例: 表現学習や最適化に関する理論、AI倫理の枠組み
レイヤー1:汎用モデル構造・学習パターン
(再利用可能な設計パターンの確立)
理論研究をもとに、多くのAIプロダクトで再利用される「共通の型」を作ります。
- 主な職種: AI研究者、MLリサーチャー、アーキテクチャ設計エンジニア
- やっていること: * Transformerのようなモデル構造の設計
- DiffusionやCNNといった基本アーキテクチャの確立
- 成果の例: Transformerアーキテクチャ、大規模事前学習という設計思想
レイヤー2:モデルアーキテクチャ設計
(基盤モデル設計フェーズ)
レイヤー0・1の成果をもとに、高性能なAIモデルの中身(重みや損失関数など)を設計します。
- 主な職種: MLリサーチャー、AIアーキテクト、研究開発エンジニア
- やっていること: * 学習方法や損失関数の最適化
- 成果 de 例: GPT、Gemini、LLaMA などの基盤モデル設計
レイヤー3:基盤モデルのAPI/プラットフォーム提供
(サービス化フェーズ)
作られた基盤モデルを、誰でも安定して使える形で提供する「インフラ」としての役割です。
- 主な職種: プラットフォームエンジニア、クラウドエンジニア、SRE
- やっていること: * レイテンシやスループットの最適化
- 成果の例: OpenAI API、Google Cloud Vertex AI、Hugging Face Hub
レイヤー4:実務応用モデルの設計・運用
(Applied AI / MLOps フェーズ)
APIや基盤モデルを使って、実際の業務で使えるプロダクトを作り、改善し続けます。
- 主な職種: アプリケーションエンジニア、MLOpsエンジニア、AIプロダクトマネージャー
- やっていること: * 業務に合わせたプロンプトやRAG(外部知識検索)の設計
- 成果の例: GitHub Copilot、ChatGPT(UI製品)、社内ナレッジ検索AI
レイヤー5:エンドユーザーによる業務利用・効率化
(AI活用フェーズ)
AIを「作る側」ではなく、仕事の中で使って成果を出す役割です。
- 主な職種: 業務担当者、現場リーダー、マーケター、コンテンツ制作者
- やっていること: * どう使えば仕事が速くなるかの試行錯誤
- 成果の例: 業務用プロンプトテンプレート、AI前提の業務フロー、利用ガイドライン
おわりに
同じ「AIに関わる人」でも、どのレイヤーにいるかによって、求められるスキルも、希少性も、そして生み出す価値の形も大きく異なります。
自分が今どのレイヤーの話をしているのか、あるいはどのレイヤーを目指しているのか。それを意識するだけで、AIという巨大な技術の波を捉えやすくなるはずです。